GigaSt・スペアナの構成を分析する(2)


<項目>2Gユニットの仕組み

 2Gユニットは、測定する信号の周波数帯域別により、その役割が2つあります。

(1)センター周波数が1000MHz未満の時では、2Gユニットの入力に1Gユニットが接続されます。
すなわち、1Gユニットから1400MHz帯のIF信号が、2Gユニットに入力されます。
2Gユニット内のVCO局部発振器の周波数 fLO2は、1880MHz(周波数は固定)に設定されており、1GユニットからのIF信号を、fIF1としたとき、2GユニットからのIF信号(出力信号)をfIF2とすると、

IF2=fLO2−fIF1

になります。
従って、fLO2=1880MHz、fIF1=1400MHzより、fIF2=480MHzとなります。
この場合の2Gユニットの役割は、1GユニットからのIF周波数1400MHzを、UVユニットで処理できる周波数範囲として、480MHzに変換する役目をします。

2Gユニットのブロック図
図1. 2Gユニットの役割(2Gユニットのブロック図)

(2)センター周波数が1000MHz以上の時では、950MHz〜2150MHzまでの信号 fが、直接2Gユニットに入力されます。
このとき、2GユニットのVCO局部発振器の周波数 fLOは、1400MHz〜2600MHzの範囲で掃引されますが、センター周波数の設定とスパンの設定により、可変する周波数幅が決められます。このときの役割は、IF周波数 fIFを480MHzと考えた1Gユニットのときと同じです。PLLには、MITEL社製のSP5659、ミキサにはSONY社製のCXA3068Nが使われています。


<項目>アッテネータについて

(注)詳細は1Gユニットのところに書かれています。 詳細のページへ
 各ユニットの前段には、アッテネータが挿入されています。アッテネータの役割は、高周波信号のレベル調整[ブロック図で、ATTと記載]と、もう一つは整合改善[ブロック図で、6dBと記載]の2つの役割を持たせています。


<項目>BPFについて

 2Gユニット内のブロック図を見ると、BPF(バンドパス・フィルタ)が内蔵されています。BPFの役割は、目的とする周波数帯域の信号を通過させるもので、イメージの低減にも役立っています。2Gユニットの入力信号の周波数範囲は、およそ950MHz〜2150MHzですので、BPFの通過帯域周波数幅は、それほど狭帯域のものではないようです。
スペアナの狭帯域化を検討する場合にも言えることですが、一般に高い周波数でのBPFは、通過帯域幅の広いものが多いようです。比較的周波数の低い方が、BPFは狭帯域化しやすいのです。
 さて、イメージについてですが、2Gユニットの周波数変換において、fIF2=fLO2−fIF1の他に、fIF2=fIF1−fLO2も考えられます。
2Gユニットの局部発振器の周波数は、fLO2=1880MHzであるとします。通常は、2Gユニットの入力には、1GユニットのIF信号として fIF1=1400MHzが入力されれば、2Gユニットの変換周波数(出力信号)は、fIF2=480MHzとなるはずです。
しかし、もしこのとき、fIF1の他に2360MHzの信号が混入した場合どうなるでしょうか。
IF1=2360MHzと、fLO2=1880MHzとの差で、これでも fIF2=480MHzとなってしまいます。
ようするに、変換すべき目的信号の周波数 fIF1=1400MHzと、別の2360MHzとが入力されたら、区別ができなくなります。
これが、2Gユニットのイメージになります。従って、2360MHzが除去できるように、BPFの周波数帯域は、2Gユニットの入力信号の周波数範囲として、およそ950MHz〜2150MHzになっています。


<項目>UVユニットの仕組み

 UVユニットの構成から、TVチューナ−のようです。
UVとあるのは、VHF帯が1〜12チャンネル用で約90MHz〜222MHz、UHF帯が13〜62チャンネル用で約470MHz〜770MHzを受信することから、UVユニットと呼んでいるようです。
UVユニットの各帯域の周波数特性は一様であることが望ましいわけですが、実際に90MHz〜220MHz、470MHz〜770MHzの広範囲に渡って、帯域特性が平坦とは限りません。
秋月電子のスペアナキットでもTVチューナーが使われておりますが、ホームページ公開の経緯のところで、TVチューナーモジュールの周波数掃引に疑問としました。
すなわち、周波数帯によってTVチューナーのダイナミックレンジが狭く、しかも直線的ではないため、TVチューナーの周波数をそもそも掃引させること自体がまずく、周波数は固定とすべきです。
受信周波数を480MHz固定としたGiga-SiteのUVユニットの使い方が正解と思います。
 さて、UVユニットの構造を簡単に述べておきましょう。
UVユニットの、1st IF周波数は58MHz、2nd IF周波数は、10.7MHzとなっています。58MHzとなっているのは、映像キャリア周波数の映像IF用のSAWF通過帯域周波数に合わせています。正確には58.75MHzが規格となっています。この中間周波数は、局発妨害、イメージ妨害、中間周波妨害などを考慮して妨害の少ない50MHz帯が使われています。
SAWFとは、表面弾性波(urface coustic aves:SAW)の伝達特性を利用したフィルタ(ilter)というものです。SAWFは図2のように、表面弾性波の励振、受振用のくし形電極2組を圧電体上に形成したものです。
一方の電極に電気信号を入力すると、圧電効果によって、くし電極の間隔を1周期とする振動が発生し、その振動が表面弾性波となって、他方のくし形電極に伝搬し、電気信号となって出力されます。
ここで発生する表面弾性波の周波数は、圧電体の圧電率やくし電極の間隔などで変えることができます。つまり、入力した電気信号と、くし形電極で発生する表面弾性波の周波数が同一ならば伝達し、同一でない場合は伝達しないことから、バンドパス・フィルタとして利用できます。

SAWFの構造図
図2. SAWFの構造図

一般に、UVユニットの1st IF周波数変換回路は、映像搬送波の周波数よりも、常に58MHzだけ高い周波数となっています。すなわち、2GユニットのIF出力周波数は、480MHzですから、UVユニットのVCO局部発振器の周波数は、480MHz+58MHz=538MHz(固定)に設定しています。ミキサ回路はPHILIPS社製のTSA5526で行っています。
 次に,2nd IF周波数は、10.7MHzになっています。一般的にFMなどの中間周波数は、10.7MHzが使われます。Giga-Siteのブロック図では、10.7 LOGとして、詳細は記載されておりませんが、ここにもフィルタが使われていると思います。10.7MHzのセラミック・フィルタか、クリスタル・フィルタです。LOG変換は、PHILIPS社製のSA626DというICで行っています。


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